皆さんは「アフタヌーンティー」と聞いて、何を思い浮かべますか?
紅茶やスコーンなどのお菓子
貴族のマダムたちの社交場
ちょっとオシャレ過ぎて馴染みがない感じですよね(笑)
しかしアフタヌーンティーの習慣は理にかなっており、生活に取り入れることで様々なメリットがあるのです。
キーポイントは、もちろん「サンドイッチ」です。
では、アフタヌーンティーとサンドイッチの関係を紐解いていきましょう。
イギリスのティータイム
イギリスの人々の生活には、紅茶が欠かせません。
紅茶好きのイギリス人は、1人あたり年間約2.6kgもの紅茶を消費します。
これは平均にして、1日に4〜5杯の紅茶を飲んでいることになります。
そしてイギリスには、アフタヌーンティー以外にもティータイムがあることを皆さんはご存知でしたか?
アーリーモーニング・ティー
朝起きてすぐ、ベッドの中で紅茶を飲んで眠気を覚まします。
もともとはヴィクトリア朝時代の貴族の習慣で、メイドがご主人様の目覚める時間に合わせて、ベッドまで暖かい紅茶を運んだことが始まりです。
イギリスでは今でも、休日などには夫が寝起きの妻のために紅茶を入れてベッドに運ぶという習慣もあることから「ベッド・ティー」とも言われています。
流石レディーファーストのお国…日本人女性としては羨ましい限りです(笑)
ブレックファスト・ティー
朝食と一緒に飲む紅茶は、ミルクティーが定番です。
そのため「ブレックファストブレンド」と呼ばれる紅茶のほとんどが、ミルクティー用にブレンドされています。
ブレックファスト・ティーは、18世紀のイギリスの女王であるアン王女が始めた習慣だと言われています。
イレブンジズ・ティー
午前11時頃、仕事の合間のちょっとした休憩では、ビスケットなど軽いお菓子を食べながら紅茶を飲みます。
もともとはヴィクトリア朝時代のメイドたちが、仕事の合間に楽しんだティータイムだったそうです。
ランチ・ティー
イギリスでは午後1時頃からランチタイムが始まります。
イギリスの朝食はボリュームがあるため、その分ランチは軽めで、サンドイッチとミルクティーの組み合わせが定番メニューです。
ミッディ・ティーブレーク
午後4時頃、ビスケットなどを食べながらミルクティーを飲む15分程度の軽いティータイムです。
アフタヌーン・ティー
ミッディ・ティーブレークと同じ午後4時頃に飲む紅茶ですが、こちらは休日や来客時などの特別な時に飲む紅茶のことです。
(詳しくは次項にて)
ファイブ・オクロック
午後5時頃、夕食前の軽い食事と一緒に紅茶を飲みます。
コンサートや観劇に行く際は、ディナーはコンサートや観劇が終わってからになるので、始まる前に腹ごしらえをしておきます。
ハイティー
午後5時頃から、夕食と一緒に飲む紅茶です。
イギリスの農村地帯やスコットランドで始まった習慣で、夕方に仕事から帰宅した男性が、肉料理やパンと一緒に紅茶を飲んだことから始まりました。
昼間はローテーブルで紅茶の飲むのに対して、夕食は食堂のハイテーブルで飲むことがこの名前の由来と言われています。
別名「ミートティー」とも呼ばれています。
アフターディナー・ティー
19世紀頃からは、夕食の後に紅茶を飲む「アフターディナー・ティー」の習慣ができました。
やや薄めのミルクティーと、チョコレートなどの甘いお菓子を少しいただきます。
ナイト・ティー
寝る前のリラックスタイムにも紅茶を飲みます。
ウィスキーやブランデーを紅茶に入れたり、ハーブティーを飲んだり、楽しみ方は人それぞれです。
紅茶を飲むことで体が温まり、眠りやすくなるという効果もあります。
アフタヌーンティーの魅力
午後4時頃、お菓子と紅茶を楽しむ15分程度の軽いティータイムを「ミッディ・ティーブレーク」と呼び、同じ午後4時頃でも来客が来た時や休日に、ケーキやサンドイッチ・スコーンといった軽食を用意して飲む紅茶を「アフタヌーンティー」と呼びます。
アフタヌーンティーの歴史
1840年頃、7代目ベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリアによってアフタヌーンティーは始められました。
当時の貴族の食生活は、イングリッシュ・ブレックファスト(別名フル・ブレックファスト)と呼ばれるたっぷりの朝食と、夜8時頃から始まる夕食の2食でした。
アンナ・マリアは朝食と夕食の間の空腹を満たすために、午後4時頃、お茶とともにパンやお菓子を食べ始めました。
最初はこっそり食べていたそうですが、次第に専用のお茶室で友人たちと楽しむ社交の場になりました。
アフタヌーンティーはヴィクトリア朝時代後期に大流行し、一般庶民にまで広く浸透しました。
そこで階級の差別化をするために、上流階級ほど堅苦しいマナーを重んじるようになっていきました。
アフタヌーンティーの紅茶
アフタヌーンティーの紅茶は、まず1杯目は茶葉の風味を味わうためにストレートでいただきましょう。
ミルクや砂糖を入れるのは、2杯目からがベターです。
紅茶をポットからカップに注ぐ際、日本人がついやりがちなのは急須でお茶を入れるときのようにティーポットのふたを押さえてしまうことです。
イギリススタイルは、右手にポット、左手にカップ・ソーサーを持って胸の高さまで持ち上げ、ゆっくりとカップに紅茶を注ぎます。
アフタヌーンティーのティー・フーズ
アフタヌーンティーと言えば、3段のティースタンドに並べられたティー・フーズが思い浮かびますよね。
下からサンドイッチ・スコーン・ペイストリーの順で並んでいます。
さて、どこから食べ始めれば良いのでしょうか?
ティー・フーズは、サンドイッチ→スコーン→ペイストリーの順に食べ進めます。
サンドイッチは乾きやすいですから、この順番は理にかなっていますよね。
アフタヌーンティーの定番サンドイッチ
アフタヌーンティーのティー・フーズで定番のサンドイッチといえば「キューカンバー・サンドイッチ」です。
イギリスでは最高級のサンドイッチといえば、キューカンバー・サンドイッチだった時代が長く続きました。
キューカンバー、つまりキュウリを挟んだサンドイッチが最高級?と現代の日本に住む皆さんは不思議に思いますよね?
実はちゃんとした理由があるんです。
イギリスでは19世紀から20世紀の初めにかけて産業革命で農地が工場になってしまったことで、野菜類は輸入に頼らざるを得なくなってしまいました。
また、イギリスの気候はもともとキュウリの栽培に適していなかったため、新鮮なキュウリを口にすることができるのは、一部の富裕層や貴族だけでした。
そのため、新鮮なキュウリを用いたキューカンバー・サンドイッチを来客に振る舞うこと、そして来客としてキューカンバー・サンドイッチを食べられることが一種のステータスとなっていました。
耳を切り落とした薄い白パンの片面に、出来立ての白いバターを塗り、皮を剥いたキュウリの薄切りを乗せてサンドした非常にシンプルなキューカンバー・サンドイッチは、キュウリが安価な食材として広く普及するようになった現在でも、イギリス人にとっては特別なものであり、アフタヌーンティーでは欠かせないティー・フーズです。
アフタヌーンティーのメリット
アフタヌーンティーでは礼儀作法が身についたり、親交を深めることができたりと様々な魅力がありますが、この他にも、健康面においてメリットがあることはご存知でしたか?
・最初に野菜を摂取することで食べ過ぎを防ぐことができます。
アフタヌーンティーのティー・フーズは、サンドイッチ→スコーン→ペイストリーの順に食べ進めるのが正しい礼儀作法だと先ほどご紹介しましたよね。
最初にキューカンバー・サンドイッチのように、野菜が多く含まれる料理を食べることによって、食べ過ぎを防ぐ意味もあります。
またキュウリには、免疫力を高めたり美肌作りに欠かせない「ビタミンC」、むくみを解消してくれる「カリウム」、便秘解消に効果がある「食物繊維」や脂肪を分解してくれる「ホスホリパーゼ」という酵素も含まれています。
・夕食の食べ過ぎを防ぐことができます。
皆さんはついつい夕食を食べ過ぎてしまうことはありませんか?
一般的なランチタイムの12時に昼食、お仕事などを終えて19時頃に夕食をとる場合、食間が7時間も開いてしまいます。
これだけ食感が開くと、空腹のあまり脳が栄養を欲して過剰に食欲が増してしまい、その結果夕食を食べ過ぎてしまうことになります。
アフタヌーンティーで適量の間食をすることによって、空腹がまぎれて、夕食の食べ過ぎを防ぐことができます。
・糖の吸収を穏やかにすることができます。
アフタヌーンティーは親交を深める場でもありますよね。
話をしながら時間をかけて食事をすることで、食事に含まれる糖質がゆっくりと吸収され、血糖値の急激な上昇を防ぎます。
血糖値の急激な上昇を防ぐと、肥満の原因となる「インスリン」の分泌も抑えられます。
楽しくおしゃべりをしながら、美味しいお菓子と紅茶をいただいて、さらに太ることもないなんて!
アフタヌーンティーの習慣、日本も取り入れるべきですよね。
まとめ
今回はイギリスのアフタヌーンティー文化をご紹介しましたが、いかがでしたか?
1日に何度もあるティータイムで少量ずつ食事をとることで、食べても太らないというのは嬉しいですよね。
今回ご紹介した「キューカンバー・サンドイッチ」は、簡単にご自宅で作ることができますので、皆さん是非試してみて下さいね!
ただし、美味しいからといって食べ過ぎには注意ですよ!(笑)
「アフタヌーンティーで旅するイギリス」では、イギリスでアフタヌーンティーを楽しめるスポット、イギリス式のエチケットやマナー、そしてアフタヌーンティーで使う英会話など、本場イギリスでアフタヌーンティーを楽しみたい方向けのガイドブックです。
美味しそうなアフタヌーンティーのティー・フーズの写真が盛り沢山なので、イギリスに行く予定のない方でも、写真を見ているだけで楽しめる一冊です。
気軽に旅行に行けない今だからこそ、こちらの本を見ながら脳内旅行なんていかがですか?
ではでは。
コメント