サンドイッチ伯爵はギャンブル好きではなかった⁉︎サンドイッチの起源と歴史

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「サンドイッチはその昔、ギャンブル好きのサンドイッチ伯爵が好んで食べていたことからその名前がついた」という通説を皆さんも聞いたことがあるかと思います。

実はこの説以外にも、諸説あるのはご存知でしたか?

今回はギャンブル好きだとされているサンドイッチ伯爵の汚名返上(?)になるかもしれない、サンドイッチの起源や歴史を振り返ってみます。

ぜひ、サンドイッチ片手にご覧ください♡

サンドイッチの起源

パンに食材をはさんだり、乗せたりする料理は、古くから各地に存在していました。

一番古い伝承は、古代ローマ時代まで遡ります。
1世紀のユダヤ教のラビ(指導者)であったヒレル・ザ・エルダーが、ユダヤ教の宗教的記念日である「過越祭の日」の食事として、犠牲の羊を象徴する仔羊の肉と苦い香草を、マゾ(マッツア)と呼ばれる種無しパン(酵母を入れずに小麦粉を練って焼いたもの)で包んで食べたという記録があります。
現在、ユダヤ教の過越祭で使われるマゾはクラッカーに近い食感ですが、当時のマゾはピタに近い柔らかな食感だったそうです。

そして記録は残っていませんが、中東が発祥のピタや古代ローマ帝国で食べられていたオッフラというピタサンドのようなものは紀元前から存在していました。
庶民が手早く食べられるよう、主食であるパンに肉などを挟んだり乗せたりする食べ方があったとしても不思議ではありません。

つまり、サンドイッチの起源は断定されていないのです。
もちろん当時はサンドイッチという言葉も存在していません。

サンドイッチと呼ばれる理由

私たちが「サンドイッチ」と聞いてイメージするような、2枚のパンで具材を挟んだ英国式サンドイッチは、1760年頃にロンドンの紳士クラブで誕生したという伝承があります。

当初は単に「パンと肉(bread and meet)」あるいは「パンとチーズ(bread and cheese)」と呼ばれていました。
それが何故、「サンドイッチ」と呼ばれるようになったのでしょうか。

諸説ありますが、そのどれもが第4代サンドイッチ伯爵ジョン・モンタギューに関わるものであることから、彼の名前から取ったことは間違いなさそうです。

1.ギャンブル好き説
第4代サンドイッチ伯爵ジョン・モンタギューは、無類のトランプ好きでした。
彼はトランプゲームをしながら食事をしたいと思い、2枚のパンで肉を挟んだ料理をリクエストしたそうです。
(サンドイッチ伯爵はかつて地中海海域を旅したことがあったため、ピタサンドのようなものを見知っていたのではという説があります。)
片手で食べられ、指も汚さないこの料理をサンドイッチ伯爵が気に入り、後に「サンドイッチ」と呼ばれるようになったという説です。

フランス人作家ピエール=ジャン・グロスによる「ロンドン滞在記」の中にもこのような記述があります。

国務大臣(第4代サンドイッチ伯爵ジョン・モンタギュー)はギャンブルに夢中で、賭博台で24時間を過ごしていて、ゲームを続けながら食べられるように2枚の焼いたパンに肉などの具を挟んだものを作らせてギャンブルをしながら食べている

「Londres(A Tour to London)」 Pierre-Jean Grosley

この「ギャンブル好き説」が最も有力とされています。

2.ワーカーホリック説
上記の説を覆すようですが、当時政府の閣僚に就任していたサンドイッチ伯爵は執務に忙殺されており、とてもギャンブルを楽しむような時間はなかったようです。
書類仕事をしながら片手で食べられる食べ物をとても気に入っていたことから「サンドイッチ」という名前が付いたという説があります。

上記の「ギャンブル好き説」が有名すぎて信じられないかも知れませんが、サンドイッチ伯爵はがつくほどのエリートです。
イングランド貴族の第4代サンドイッチ伯爵ジョン・モンタギューは、イギリス郵便局長、海軍大臣、国務大臣と華々しい経歴の持ち主です。
さらに海洋探検家のキャプテン・クック(ジェームズ・クック)の有力な支援者で、クック船長が1788年にハワイ諸島に到達した際には感謝の意を込めて「サンドイッチ諸島」と命名したというエピソードもあります。
当時のサンドイッチ伯爵の影響力の大きさが窺えるこの話からも、「ワーカーホリック説」も有力な説ですよね。

3.皮肉説
パンと肉などの具を一緒に食べる料理は、庶民の食べ物として賭博場や飲み屋で出されていたメニューでした。
そんな庶民の食べ物を、有力貴族であるサンドイッチ伯爵が食べていたことから、彼を敵対視する人々から皮肉の意味を込めて「サンドイッチ」と呼ばれるようになったという説もあります。
上流階級に対する風刺や皮肉は、なんともイギリスらしいですよね。

どの説が本当なのかは、今となってはわかりませんが、第4代サンドイッチ伯爵ジョン・モンタギューによって、庶民の食べ物が上流階級の人々に広まっていったのは間違いなさそうです。

サンドイッチという言葉が文献に初めて登場するのは、イギリスの歴史家エドワード・ギボンの日記でした。

a bit of cold meat, or a sandwich, and drinking a glass of punch.
(少し冷たい肉、またはサンドイッチを食べ、パンチを飲む)

Edward Gibbon’s Diary

これは、当時ロンドンで有名だった紳士クラブ「Cocoa-Tree Club」の情景を記したものです。

その後、1770年代にかけて「サンドイッチ」という呼び名が広まっていきます。

サンドイッチの普及

18世紀後半のイギリスで普及したサンドイッチは、ヨーロッパ各国へ、さらに欧米へと普及していきます。

19世紀から始まる産業革命の影響によって、自宅から離れた職場に通う労働者が増えたため、食べやすく、簡単に作れて、携帯できるサンドイッチは急速に庶民の間に普及していきました。

そして20世紀に入ってから、更にサンドイッチが普及していきます。
それには、1920年代に発明されたパンスライス機が一役買っています。
スライスされた状態でパンが販売されるようになり、サンドイッチを作るのが更に簡単になったのは言うまでもありませんね。

日本にサンドイッチが伝わったのは明治時代です。
そして一般庶民にまで広く普及したのは、第二次世界大戦後になってからです。

サンドイッチの進化

サンドイッチは各国に広まっていく中で、その国の料理やその国で好まれているパンを使用するなどして、様々なアレンジが加えられたものが誕生しました。

代表的なものとしては、
ホットドッグ(アメリカ・1860年頃〜)
ハンバーガー(アメリカ・1900年頃〜)
クロックムッシュ(フランス・1910年頃〜)
かつサンド(日本・1935年〜)

どれも、今となってはお馴染みの食べ物ですよね。

まとめ

今回はギャンブル好きだとされているサンドイッチ伯爵の汚名返上(?)を目指して、サンドイッチの起源や歴史を振り返ってみましたが、いかがでしたか?

こちらの「サンドイッチの歴史」では、知られざるサンドイッチの歴史だけでなく、サンドイッチの種類なども紹介されていますよ!

現在ではコンビニエンスストアやカフェ、そしてファストフード店で手軽に味わえるサンドイッチですが、その歴史に思いを馳せてみれば、より一層味わい深いものになるかもしれませんね。

ではでは。

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