皆さんは普段サンドイッチを作るときに愛用しているバターはありますか?
サンドイッチの具材の水分がパンに染み込んでしまわないよう、パンにバターを塗るのはサンドイッチ作りの基本中の基本ですよね。
サンドイッチにおいて、バターはあくまで脇役。
バターなんてどれでも同じで、スーパーで売っている一番安いもので十分と思っている方も多いかと思います。
でも、今回ご紹介するバターを食べればそんな考えは一瞬で吹き飛んでしまうことでしょう。
今回は、A.O.P認定バターである「エシレ」と「イズニー」の発酵バターを食べ比べてみようと思います!
A.O.P認定バターとは
A.O.Pとは、「Appellation d’Origine Protégée (アペラシオン・ドリジン・プロテジェ)」の略称で、日本語では「原産地名称保護」という意味になります。
EU(欧州連合)が、その土地の伝統的な農産品の保護を目的として、製造地域や原料、製造工程などの規定を満たした商品にのみ付与する認証です。
ワインやチーズなど、認証ラベルが表示されている商品は多数ありますが、A.O.P認証のバターはほんの一握りです。
発酵バターとは
お菓子のパッケージなどに「発酵バター使用」と表示されているものを、最近よく見かけませんか?
この発酵バターとは一体、どのようなものなのでしょうか?
発酵バターの製造方法
発酵バターはその名の通り、バターを発酵させる工程が通常の製造過程に加えられています。
一般的なバターの作り方は
①分離
生乳から遠心分離により、クリームを分離します。
②殺菌・冷却
クリームを95℃で60秒間加熱殺菌し、殺菌後はただちに5℃前後に冷却します。
③エージング
殺菌・冷却されたクリームを5℃前後のタンクで8〜12時間、低温保持します。
この工程は熟成とも呼ばれ、この間にクリームの脂肪分は結晶化し、形や大きさが一定になり脂肪球が安定します。
④チャーニング
エージングしたクリームを10℃以下の温度で激しく攪拌することによって、脂肪球を凝集させ、バター粒とそれ以外の成分に分けます。
バター粒以外の液体はバターミルクと呼ばれ、粉末状のものが業務用として利用されています。
⑤水洗
バター粒を冷水で洗い、バターミルクを完全に除きます。
これによりバターの風味が良くなり、バター粒の硬さも調節されます。
⑥加塩
バターの風味を良くし、保存性を高めるために食塩を加えます。
⑦ワーキング
バター粒を練り合わせ、粒子中の水分や塩分を均一に分散させ、なめらかで良質なバター組織にします。
⑧包装
出来上がったバターを包装します。
硫酸紙やアルミパーチ(アルミ箔で裏打ちした紙)に包み、紙箱に入れたものが主流ですが、瓶、缶、プラスチック容器に入ったものもあります。
発酵バターを作る場合は、工程②の殺菌・冷却の後に一手間加わります。
クリームに乳酸菌を加え、適切な温度を保ったまま、半日以上じっくり発酵させます。
その後の工程は、一般的なバターと同じです。
発酵バターの歴史
発酵させた乳製品は、バターの他にもヨーグルトやチーズなどがありますが、これらの歴史はとても古く、紀元前6,000〜3,500年頃の遺跡から人間が利用していた痕跡が発見されたそうです。
旧約聖書をはじめ、紀元前の古代の書物にもバターについての記述があります。
そんなバターは、酪農文化が盛んなヨーロッパが発祥です。
古来のバターは製造技術がまだ未熟だったため、自然と発酵が進んでしまうことがありました。
この「発酵バター」はヨーロッパでは昔から、広く一般的に使用されています。
一方、日本でバターが普及したのは13〜14世紀頃と言われています。
その頃にはバターの製造技術も発達していて、発酵させないバターが多く作られていました。
日本にはその非発酵バターが輸入され、そのまま定着しました。
元々は技術不足から生まれた「発酵バター」でしたが、発酵バターを使用したお菓子の登場などによって、昔ながらの製法で作られた発酵バターの魅力が見直されています。
発酵バターの特徴
発酵バターの特徴は、何と言ってもそのコクと風味です。
また、発酵バターには乳酸菌が含まれているため、腸内環境を整える働きが期待できます。
パンに塗るだけでなく、そのコクと風味を活かして、お料理やお菓子作りにも使用できます。
エシレとは
「エシレバター」は、優れた乳製品の生産地として知られるフランス中西部・エシレ村で生産されるクリーミーな口当たりと本純な香りが特徴のA.O.P認定の発酵バターです。
エシレ村の自然
エシレ村の位置するヌーヴェル・アキテーヌ地域圏は大西洋側の温暖な気候に恵まれ、さらに土壌は石灰分を多く含むので良質な牧草が育ちます。
牛たちはこの牧草を食べ、バター作りに最適な脂肪分の多いお乳を出してくれます。
また、バターの製造工程でバターミルクを洗い流す水も、地元に湧き出る美味しい水を使用しており、「エシレバター」はエシレ村の自然の恵みからできていると言っても過言ではありません。
エシレのこだわり
1894年の創業以来受け継がれている、こだわりの製法によって「エシレバター」は作られています。
原料として使われるのは、工房から半径30km以内の酪農家の牛から搾ったミルクだけです。
搾りたてのミルクは24時間以内に工房に届けられ、フレッシュなうちにバターに加工されます。
またエシレでは、昔ながらの木製チャーン(攪拌機)によってバターを練り上げています。
現代ではステンレス製のチャーンが一般的ですが、この木製チャーンでバターを練り上げることによって、口当たりの柔らかで滑らかな食感が生み出されます。
こうして作られた「エシレバター」は、バター本来の風味を損なわないよう冷凍せずに、フランスから日本へ空輸されています。
ラインナップ
「エシレバター」は、有塩と食塩不使用の2種類があります。
「エシレバター 250g ブロック 有塩」は、オムレツやムニエルを作るのにぴったりです。
「エシレバター 250g ブロック 食塩不使用 」は、発酵バターそのものの風味が味わえるので、パンに塗ってそのまま食べるのがオススメです。
「エシレバター ギフトセット 250gバスケット 有塩・食塩不使用 各1」は、有塩と食塩不使用がセットになっているので食べ比べができるのが嬉しいですよね。
可愛らしいバスケットに入っているところも、ギフトにぴったりですね!
「エシレバター」は、こちらでご紹介したブロックやバスケットタイプの他にもテーブルで使いやすいポーションタイプもあります。
美味しい食べ方
今回は、こちらのポーションタイプの食塩不使用をいただきます。
バターは室温にしばらく置いて、ナイフが通る柔らかさが食べごろの目安です。
室温に戻すことによって、低温下で閉じ込められていた発酵バター本来の風味が戻ります。
バゲットにたっぷり塗っていただきたいと思います。
バターの色は一般的なバターよりも白っぽい印象です。
そして香りは、良い意味でバター臭さが全くありません。
肝心のお味はと言うと…
フレッシュかつクリーミーな味は、今まで食べていたバターとは全くの別物です。
美味しすぎて、追加してしまいました(笑)
後味もスッキリしているので、もりもりにして食べても全然しつこくありません。
正直、50gを買って後悔しました。
あっという間に使い切ってしまいました。
皆さんは是非、250gをチョイスしてくださいね!
イズニーとは
イズニーはフランス北西部に位置します。
世界大戦で有名な、あのノルマンディ地域の近くです。
この地域の緑の牧草地は、酪農と乳製品産業の発展に欠かせないものです。
イズニーでは自社牛舎や契約農家から原料の牛乳を集め、搾乳後24〜72時間以内に使用します。
そんなフレッシュな牛乳から作られているバターは、もちろんA.O.P認定です。
チャーニング製法とは
一般的なバターは「連続式」という大量生産方式で作られているのに対し、「チャーニング製法」は古くから行われていた、牛乳を皮袋に入れて攪拌する方法を応用したもので、手作りに近い作り方です。
ゆっくりと攪拌されたバターは、味も香りも違いが出てきます。
ラインナップ
イズニーではバターはもちろん、チーズなどの乳製品も販売しています。
「イズニー チャーニング発酵バターAOP 有塩」は、ゲランド産の塩を使用しています。
滑らかな舌ざわりと、優しいミルクの味わいが特徴です。
「イズニー チャーニング発酵バターAOP 食塩不使用」は、15時間ゆっくり熟成させた発酵バターです。
無塩バターは塩気がない分、ミルクの風味がより一層感じられます。
イズニーがあるフランスでは、パンにつけて食べるのは「無塩タイプ」が主流です。
では、フランスの一般的な朝食スタイルに倣って、こちらのバターをバゲットに塗っていただいてみたいと思います!
美味しい食べ方
こちらも、バターナイフがスーッと入るような滑らかさになるまで室温に戻してからいただきます。
あまり長時間空気に触れさせてしまうと、バターに含まれる脂肪分が酸化してしまい、せっかくの風味が損なわれてしまうので、食べる分だけ切り分けて、残りは冷蔵庫に戻しておきましょう。
「イズニー チャーニング発酵バターAOP 食塩不使用」の色味は、比較的一般的なバターに近い、黄色っぽい色味をしています。
そして香りは、ほんのりとバターの香りが漂います。
しかしその味はと言うとミルクの風味が濃く、バター臭さはありません。
エシレとイズニーを比較
では、A.O.P認定バターである「エシレ」と「イズニー」を比較してみたいと思います。
左がエシレ、右がイズニーです。
色味は、エシレの方が白っぽく感じますね。
そしてフレッシュさは、エシレの圧勝だと思います。
ただ濃厚さで選ぶのなら、イズニーかなと筆者は感じました。
結論!
どちらも美味しいので、どちらも皆さんに食べていただきたいです!
まとめ
今回は、A.O.P認定バターである「エシレ」と「イズニー」の発酵バターを食べ比べてみましたが、いかがでしたか?
バターの色味がかなり違ってたのが印象的でしたが、同じメーカーのバターでも色に違いがあることがあります。
バターの黄色は、乳牛が食べた飼料に含まれるカロテンに由来します。
夏季に放牧が多い地域の乳牛は青草を食べる割合が多く、青草にはカロテンが多く含まれることから黄色がやや濃いバターとなります。
一方、冬季に放牧が少なく、配合飼料や乾牧草を与える割合が多いと黄色が薄くなる傾向があります。
つまり、バターの色はバターが作られる季節によって違ってくると言うことですね。
これは、また時期を置いてバターの味を確かめてみなくてはいけませんね!
いつものサンドイッチをグレードアップしてくれる「エシレ」と「イズニー」のバター、是非皆さんもその味をご自身の舌で確かめてみてくださいね♡
ではでは。
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